アニメの中で「シュレディンガーの猫」という不思議な概念は何が言いたいのか?またその意味について知りたいと思うことでしょう。
シュレディンガーの猫は、オーストリアの物理学者エルヴィン・シュレディンガーが提案した有名な思考実験です。
この実験は、量子力学の奇妙さを象徴していますが、アニメでもしばしば取り上げられています。
アニメでの「シュレディンガーの猫」の使い方は、キャラクターの運命や選択が不確定な状態を描くために非常に都合が良いため、頻繁に利用されます。
しかし、その使い方には誤用も多く見られ、視聴者が混乱する原因にもなっています。
この記事では、シュレディンガーの猫の基本的な意味を簡単に解説し、アニメでの具体的な使われ方や誤用についても触れていきます。
これを読むことで、アニメの中でシュレディンガーの猫がどのように描かれ、どのような意図で使われているのかを理解する手助けになるでしょう。
アニメで登場する『シュレディンガーの猫』ってどういう意味?
シュレディンガーの猫の意味を簡単に解説
そもそも「シュレディンガーの猫」というのは、当時の物理学者同士での論争のネタであって、「シュレディンガーの猫」事態に意味も結論もありません。
「シュレディンガーの猫」はオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレディンガーが提案した思考実験で、量子力学の奇妙さを示すものです。
『箱の中には放射性物質と毒薬がセットされた装置があって、その放射性物質が崩壊すると毒薬が出て猫が死んでしまう。
でも、崩壊しなければ猫は生きている。』
これに対し、
- 猫が生きているかどうかは既に決まっている
- 猫が生きている世界と死んでいる世界は同時(多世界)に存在している
- 猫が生きている世界と死んでいる世界は箱を開けて実際に見た時点で収束される
といった議論を偉い学者さんたちが喧々諤々と論争していて、もちろん結論も出ていないのが現状です。
シュレディンガーは結局何が言いたかったのか?
エルヴィン・シュレディンガーが「シュレディンガーの猫」で言いたかったことは、量子力学の「コペンハーゲン解釈」の矛盾や直感に反する側面を強調し、その問題点を示すことでした。
少し難しい話になりますので、面倒なら「シュレディンガーが言いたかった事まとめ」まで飛んでください。
具体的には、次のようなポイントを伝えたかったのです。
量子の重ね合わせ状態の奇妙さ
シュレディンガーは、量子力学が提唱する「重ね合わせ」の概念を視覚化するために、この思考実験を考案しました。
量子系では、観測されるまで粒子の状態が確定しないという特性があります。
猫が「生きている状態」と「死んでいる状態」の両方を同時に持つというアイデアは、量子の重ね合わせ状態を示しています。
観測の役割とその問題点
シュレディンガーは、観測が量子状態を確定させるという考え方に対する批判を表現しました。
彼の意図は、観測が行われるまで猫の生死が決まらないという概念が、日常的な直感には全く合わないことを示すことでした。
この思考実験を通じて、観測者の介入なしでは現実の状態が決まらないという量子力学の奇妙さを強調しました。
コペンハーゲン解釈への批判
シュレディンガーは、量子力学の「コペンハーゲン解釈」が持つ哲学的な問題点を指摘したかったのです。
コペンハーゲン解釈では、観測が行われるまで猫が「生きている状態」と「死んでいる状態」が重なり合って存在するという考え方になります。
この解釈は、観測が行われるまで量子系の状態は決まっていないと主張しますが、シュレディンガーはこれが現実世界の物理的直感に合わないと考えました。
彼は、量子の状態が観測に依存するという考え方に対して疑問を投げかけました。
シュレディンガーが言いたかった事まとめ
シュレディンガーは「シュレディンガーの猫」の思考実験を通じて、量子力学のコペンハーゲン解釈が持つ直感に反する側面や観測問題の不自然さを強調しました。
シュレディンガーは量子力学の解釈に対する再考を促し、より深い理解を求めたのです。
これらのポイントをまとめると、「シュレディンガーの猫」を通じてシュレディンガーが言いたかったことを簡単に言うと、
「箱を開けるまで猫の生死が決まっていないって、なんか変じゃない?」
という量子力学の解釈に疑問を投げかけたかったのです。
ここで、
「あれ?」
と思った方も多いのではないでしょうか。
アニメで「シュレディンガーの猫」の意味が分からない理由
アニメにおける「シュレディンガーの猫」の使い方
アニメやではこの「シュレディンガーの猫」の概念が使われていることが非常に多いです。
キャラクターの運命や選択肢が不確定な状態を描くために、この考え方が都合がいいので乱用されています。
しかし、アニメを見ていて「意味が分からない」、「納得できない」と感じた方も多いはずです。
この理由は、「シュレディンガーの猫」は量子力学の解釈に疑問を投げかける内容なのに、量子力学の現象を説明するのに「シュレディンガーの猫」を引用しているからです。
アニメを見ていて違和感を感じて当然です。
つまり、「シュレディンガーの猫」を引用するのであれば、量子力学的現象を否定する場合に使用するべきなのです。
本来、シュレディンガーは、量子力学の解釈に関する問題点を指摘することで、その理解を深めようとしたのであって、量子力学そのものを否定しようとはしていません。
むしろ、彼はその奇妙さを示すことで、科学者たちに対してさらなる考察を促すことを目的としていました。
量子力学の第一人者であるシュレディンガーの論文だからと安易に使用した結果が、意味の通じない量子力学の説明となってしまったのです。
シュレディンガーの猫を題材にしたアニメ
「シュレディンガーの猫」を題材にしたアニメはいくつか存在します。
最近の代表例だと「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」になるでしょうか。
このアニメでは、ヒロインの桜島麻衣が他人に認識されなくなる現象が、「シュレディンガーの猫」の概念で説明されます。
大衆に観測されることで存在が確定するというテーマが、麻衣の存在に対する他人の認識とリンクしています。
これは、量子力学の「コペンハーゲン解釈」を題材としたアニメですが、麻衣の身に起こる現象を「シュレディンガーの猫」で説明してしまっています。
せめて、量子力学的現象の不思議性を表現するために「シュレディンガーの猫」を引き合いに出すのであれば理解できるのですが。
アニメはフィクションですので、現実に即していない内容があっても全く問題ありませんが、視聴者を困惑させるような内容は好ましくありません。
今後またアニメで「シュレディンガーの猫」が出てきた際には、「あぁ、またそういうことね」程度で聞き流すようにしましょう。
アニメでの「シュレディンガーの猫」まとめ
記事のポイントをまとめます。
✅放射性物質が崩壊すると毒薬が放出され猫が死に、崩壊しなければ猫は生きている
✅猫の生死は観測されるまで不確定である
✅コペンハーゲン解釈では、観測が行われるまで量子状態は決まらないとする
✅シュレディンガーはこの解釈に対して疑問を投げかけた
✅思考実験は量子の重ね合わせ状態の奇妙さを示す
✅シュレディンガーの猫には結論がなく、現在も学者たちの間で議論が続いている
✅シュレディンガーは量子力学そのものを否定しようとしたわけではない
✅アニメで「シュレディンガーの猫」の概念が多用される
✅キャラクターの運命や選択の不確定性を描くために使われる